シロアリは見た目が白いアリのように見えることからこの名前がつけられておりますが、分類学上はアリとは全く異なり、むしろゴキブリの仲間に近いです。
世界には2,000種類以上のシロアリが生息しており、日本では現在22種が確認されています。
その内、家屋に最も深刻な被害をもたらすのが、ヤマトシロアリとイエシロアリです。
ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土に広く分布しており、イエシロアリは千葉県以南の太平洋沿岸に分布しております。
ヤマトシロアリ(働きアリ・兵アリ)
ヤマトシロアリ(羽アリ)
近年は、外来種であるアメリカカンザイシロアリの被害が日本各地で広がりつつあり、駆除方法が難しいことから問題になっています。
岐阜県でも岐阜市・各務原市等でアメリカカンザイシロアリの生息が確認されており、弊社では積極的に駆除に取り組んでおります。
アメリカカンザイシロアリの被害部
大量の糞を排出しながら加害するため被害部の下には糞が山盛りになってたまっています。
顆粒状のさらさらとした糞で、俵型で褐色のすじがついています。
土台、床束、大引、根太、柱等の木材はもちろん、畳、ダンボール、発泡ウレタン系の断熱材も好んで加害します。
ヤマトシロアリの場合、水分を運ぶ能力がないため、湿った木材や地中で生活をします。
家屋において、水まわり近辺の被害が大きくなるのはそのためです。
またシロアリは風や光を嫌うため、土と唾液で蟻道と呼ばれるトンネルを作りその中を行き来しています。
蟻道
蟻道
床下の被害
床下の被害
畳および床板の被害
柱の被害
シロアリは、社会性昆虫で1つの巣に女王・王・副女王・副王・働きアリ(職蟻)・兵アリなどの階級があり、ヤマトシロアリでは図のようなライフサイクルとなっております。
階級 | 役割 |
女王、王 | いわゆる生殖階級で、交尾・産卵を繰り返すことで、巣を拡大していきます。 |
副女王、副王 | 女王や王が死んだり、弱ったりしたときに、代わりに生殖活動を行う階級です。 |
働きアリ(職蟻) |
巣(コロニー)の中の90~95%を占めており、餌の採取や巣作りの他、女王・王・兵アリ・幼虫などへの給餌 (餌を口移しで与えること)を行います。 |
兵アリ | 巣を外敵から守る階級で、自分では餌を摂取することが出来ません。 |
巣(コロニー)が大きくなりすぎたり外部環境が悪化したりすると、巣別れのために羽アリ(有翅虫)が出現します。
羽アリの占める割合は巣全体の2~3%です。つまり、羽アリが出た後も大多数は巣の中に残っているのです。
シロアリの種類によって異なりますが、羽アリは1年中見られるわけではなく、ある特定の時期にしか出現しません。
ヤマトシロアリの場合は、4~5月の雨が降った翌日などの気温が上がって蒸し暑い日に、一斉に飛び出します。家屋内では、主に浴室・洗面所・トイレ・玄関などでよく見られます。
外へ飛び出た羽アリは、地面へ下りるとすぐに羽を切り落とし、運良く交尾できたものはつがいとなって、新たに巣を作ります。
野外で見かけられるアリ(一般にクロアリと呼びます)のなかまも、種ごとで決まった時期に羽アリが出現します。シロアリの羽アリとアリの羽アリには次のような相違点があります。